変形休日と変形労働時間制

Q 当社では原則週休二日制をとっており、土日が休日となっています。毎年、夏季に機械設備の納入で担当部署が土日も出勤しなければならないない状態となっています。そこで、この部門だけ、労基法で定める44日の「法定休日」を採用できないか検討しています。

 質問

     4週の最初の3週の土日すべてを出勤とし期の最終週に4日まとめて休日を与えれば法定休日について問題ないでしょうか

② 4週目もまったく休みが取れず代休や振替休日も取ることが困難な場合、休日労働割増賃金で精算すれば問題ないでしょうか

 

お答えします

 44日の変形休日制を採用する場合において、最終週に4日まとめて休日を与えても法定休日という点では問題ありません。44日の休日が確保できないということであればその場合は、休日労働となり、労使協定が必要ですし休日労働割増賃金の支払いも必要になります。

 

法定休日のご説明

法定休日とは、使用者が労基法35条によって労働者に与えることが義務づけられている休日をいいます。この休日は、毎週1日とすることを原則としていますが、例外として4週間を通じて4日を与える「変形休日制」も認められています。したがって、どちらかを確保しておけば、法定休日の要件は満たすことになります。

 

   週1日の(法定)休日制

 使用者は、「労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日」を与えなければなりません。これに違反すると罰則が適用されます。また、どの曜日が法定休日であってもよいのですが、休日を特定しなければならないかという点について、特定すべきとしていないものの、特定することが望ましいとされています。

イ 変形(法定)休日制

 前述のとおり、法定休日は週1日を確保することが原則ですが、例外として「4週間を通じ4日以上」とする「変形休日制」が認められています(労基法352項)。この場合の4週間とは、特定の4週間の内に4日の休日が確保されていれば足りるということで、特定の4週間を確定するため就業規則等にその起算日を明記することが必要です。また、1年を通して採用することも、特定の時期に限って採用することも可能ですので特定の4週のうち3週のすべてを出勤日とし、4週目に4日まとめて休日を与えても法的には何ら問題ないことになります。   

変形労働時間制

ただし、休日を最終週に4日与えることが法定休日の点では可能であるとしても、前3週間における週の所定労働時間が法定労働時間(週40時間)を超えるということは全く別の問題でありますから、このような部門に対しては4週単位での変形休日と1

か月単位の変形労働時間制(4週単位の変形労働時間制)を組み合わせて採用すると具合がいいかもしれません。(4週間ですから合計160時間までの労働時間は法定内)もちろん160時間を超える場合には、超えた時間は当然、時間外労働であり割増賃金の対象となります。

 

 

社会保険労務士 西田事務所