割増賃金の単価計算の基礎

 Q 当社は省力化機器を製造する町工場です。所定労働時間は8時から17時ですが、納期の関係で7時から16時に変更する場合があります。就業規則にも、所定労働時間を変更する場合があることをうたっています。その際、実労働時間数には何の変更もありませんが、やはり、負担が大きくなることに鑑み1500円の早出手当を払っています。この早出手当は割増の算定基礎に含まれるのでしょうか。

 

 

お答えします。

  このケースでは、早出手当は割増の算定基礎に含む必要はありません。

早出が固定されている者(早出専門者など、または早出があるなしにかかわらず、一定額が毎月、固定額で支払われているなど)に対して早出手当が固定して支払われる場合は、割増の算定基礎に含む必要があります。

 

 

ご参考

1  労基法の定めにより、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手

当、臨時に支払われた賃金、1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金は割増賃金の算定基礎から除外されます。

 除外されるといっても、任意に算定基礎に入れることは残業単価が高くなるだけ(事業主の負担が増えるだけ)ですので、何の問題もありません。

 

  また、「通常の労働時間の賃金」に該当しないものは割増賃金の算定に算入す

  る必要はありません。

  

割増賃金率に関する労基法の規定

 労基法37条は時間外・休日・深夜の場合の割増賃金支払いを定めています。法定労働時間の8時間を超える場合は25%の割増(大企業は月60時間を超えた場合には50%割増)、休日労働の場合には35%の割増。平日の時間外労働が深夜に及んだときは50%の割増。休日労働が深夜に及んだときは60%の割増となります。

 

 割増賃金の計算基礎額

 割増賃金の基礎となるのは、通常の労働時間または労働日の賃金額ですが、労基法37条および労基法施行規則21条では、① 家族手当、② 通勤手当、③ 別居手当 ④ 子女教育手当、⑤ 住宅手当、⑥ 臨時に支払われた賃金、⑦ 1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金は除外するとしています。逆に、これ以外のものを計算基礎から除外することはできません。 ただし、この除外賃金に該当するかどうかは、賃金の名称ではなく、その実質的な趣旨・目的に従って判断されます。行政通達では、住宅手当といっても、「住宅に要する費用以外の費用に応じて算定される手当や、住宅に要する費用にかかわらず一律に定額で支給される手当は該当しないとしています。家族手当、通勤手当等の場合も同様な扱いになります。

 

早出、遅出、夜勤手当などの扱い

 シフト手当の場合は、それが「通常の労働時間または労働日の賃金」に該当するかどうかえ判断します。早番勤務に固定されている者、遅番勤務固定者、夜勤専門者などへの手当でしたら、割増賃金の計算基礎に算入されます。今回のように、通常の労働時間でない一定の時間帯に行われる労働に対して1回ごとに支払われる手当であれば、割増賃金の算定基礎に入れる必要はありません。

 

 

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