労災保険

 

Q ガススタンド(LPガス)を経営しています。タクシーのボンベにガスを充てんするのですが、アルバイトの学生が力を入れ過ぎて手首を負傷しました。簡単な作業ですし負傷の理由は本人の不器用さとしか言えませんので本人が加入している国民健康保険を使わせようと思いますがいいでしょうか。初診時には、自己負担分は会社が払ってやりました。本人からは労災にしてほしい言われましたが本人の不注意が主な原因だと思うので、できれば労災にしたくありません。

 

お答えします

 

  1 労災保険は、一人でも労働者を雇用する事業主は加入することが義務付けられ

    ていることはご存じだと思いますし御社も加入手続きはされていますよね。(強制加入)                              

    今回のケースは労災保険を使わなければいけない事故です。

   なぜ労災保険を使いたくないのかわかりませんが、どうしても労災保険を使い

  たないのなら、別の方法もあります。

   治療代と休業補償費(労基法の基準以上)を全額、事業主負担とすることで

  す。

   そうなってきますと、何のために労災保険に加入しているのかということにな

  ります。

   労災保険は労働者保護の制度ですが、事業主を守る制度でもあることをご理解

  くさい。

  

  2 社員だけでなくパート、アルバイト、嘱託 契約社員など働いてもらって、賃

    金を支払っている人すべてが労災保険の対象となります。(受け入れている派

    遣社員がいれば、その人は派遣元労災の対象です)

  

  3 休業が伴う労災事故が発生した場合、仮に治療費、休業補償費を事業主が全額

    払って、労災保険を使わなかったような場合でも、死傷病報告書等で労基署に

    届け出ることが義務付けられています。(休業が1日でもあれば死傷病報告書を

    労基署安全衛生課に提出、休業がなければ提出不要)

 

  4 被災労働者に過失があったとしても、わざとけがをしたようなケースでない限

    り、労災保険からは給付されますので、不注意があったとしても労災は適用さ

    れます。

    また、事業主には労基法上の補償義務がありますが、労災保険から給付を受け

    ていれば事業主は補償義務を免除されます。

 

 ご参考

 労災保険は強制加入保険

 

 労働者災害補償保険(労災保険)は国が管掌する強制保険です。労災保険は、仕事が原因でけが病気になったり、障害を負ったり、死亡したとき、また、通勤途上で災害にあったとき、国が事業主に代わって被災者や遺族に対し必要な補償を行います。

 ひとりでも労働者を使用する事業を行う事業主は、原則として労災保険への加入が義務づけています。

 なお、労災保険料は全額事業主が支払います。   

    労働者であれば誰でも労災保険の補償対象です。

     パートタイマーでもアルバイト、臨時、日雇いでも、事業主から給料を支払わ

    れている労者であれば労災補償の補償対象です。外国人労働者も日本人と同

    様です。

 

 

特別加入制度

 

労災保険は、本来、対象とならない中小企業の事業主や建設業等の一人親方等も、特別な手きを事前にしておくことによって労働者と同様の補償を受けることができる、労災保険特別加入制度があります。

事業主の特別加入は労働保険事務組合が窓口となります。

 

 

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