第46条(休日の振替)

1.休日の振替の意義(代休との区別)

 休日の振替とは、就業規則上休日と定められた特定の日を変更して労働日とし、労働日とされている特定の日を休日に変更することを意味します。これに対して、規定例47条で説明する代休とは、就業規則上の休日に休日労働させた後、これに変わって労働を免除する日を付与することです。 この点、行政通達は、休日の振替について、就業規則において休日を特定したとしても、別に休日の振替を必要とする場合には休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって休日をあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えた場合は、当該休日は労働日となり、休日に労働させることにはならないとし、これによることなく休日に労働を行った後にその代償としてその後の特定の労働日の労働義務を免除するいわゆる代休の場合はこれに当たらないとして、休日の振替と代休を区別しています(昭23.4.19基収1397号昭63.3.14基発150号)。

 なお、上記行政通達があらかじめ振り替えるべき日の特定を求めているのは法定休日「についてであり、これを前提とすれば、所定休日を振り替える場合には、必ずしも振り替えるべき日を特定する必要はないと考えます。一方、法定休日の場合は労基法35条の1週1日の休日付与の原則が遵守されているか否かを確認する必要があるため、振り替えるべき日の特定が必要となります。

2 休日振替命令権を取得するための規定

 休日は労働条件です。そして、休日の振替は、労働契約の内容として特定されている休日を使用者が他の日に一方的に変更することなので、労働条件の変更にあたり、労働契約上その命令権の根拠が必要となります。具体的には、労働協約や就業規則に休日の振替について休日振替命令権を定めることが必要となります。どの程度の記載が必要かについては、筆者としては、本条1項で、業務上の必要性がある場合には休日の振替をすることがあることを明らかにし、本条2項で手続規定として前日までに通知を行うこととする旨を定めることで、労働契約上の根拠としては足りるものと考えます。

 なお、休日を当該休日より後の労働日に振り替える場合は、対象となる「休日」の前日までに、休日を当該休日より前の労働日に振り替える場合は、対象となる「労働日」の前日までに通知することになります。