Q 1年契約で更新を繰り返しているパート社員が数名います。これまで、パートの年休は考えておりませんでしたが、社員との均衡もあり毎年、契約更新時に5日の有給休暇を付与することにしました。これでいいでしょうか。

 

 

お答えします

 

労働基準法に違反する可能性があります。

 1 労基法は6か月以上の継続勤務者に最低で年10日の年次有給休暇をあたえなければならな

いことを定めています。パートタイマー等労働日数や労働時間が少ない者についても比例付与の規定があります。パートの所定労働日数によっては5日の付与では労働基準法に違反する可能性があります。

契約を更新しても、雇用関係が途切れるわけではありませんので継続雇用とみなされますので、最初の契約からの年数で年休の付与日数を決めることになります。

2 労基法は時効が2年のため、その年に使わなかった年次有給休暇の権利は翌年までは繰越

すことができます。

 

 

年次有給休暇の要件と日数

 

 労基法39条は、

①雇入れの日から6ヶ月間継続勤務し、

② 全労働日(所定労働日=出勤すべき日)の8割以上出勤した労働者に対して、10日間の年次有給休暇(以下、年休)を与えなければならない、としています。

週5日以上または週30時間以上勤務する者については、継続勤務要件と出勤率の要件さえ満たせば、正社員、パート、契約社員、アルバイトなど、すべての労働者に年休の権利があり、勤務年数に応じて増加することになります(最高年20日まで)。

  2ヵ月契約、3ヵ月契約のような短期契約であっても、契約を更新して6か月以上雇われた

り、派遣先が違っても同じ派遣会社を通じて実質的に6か月以上継続して働いた場合には、権利が生じます。

 

年休の比例付与

 

 パートタイマーなど、通常の労働者より週の所定労働時間が短い場合であっても、週の所定労働時間が30時間以上であれば、通常の労働者とまったく同等の年休が付与されます。 週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下の勤務の場合であっても、労働日数に比例して一定の日数が付与されます(労基法39条3項)。また、必ずしも週単位で所定労働日数が決まっていない場合でも、1年間で48日以上の勤務があれば年休の権利は生じます。

 

年休の繰越しと時効

 

 年休を当該年度に全部行使せず残した場合については、労基法の時効が2年間となって

いるため、翌年度に繰り越すことができます

 

年休の単位・時間分割

 

年次有給休暇の取得単位は暦日の1日であり、原則として午前0時から午後12時までです。ただし、2暦日にまたがるような変則勤務の場合は、「当該勤務を含む継続24時間の休息を与えれば1日の年休を与えたものとする」というのが厚生労働省の行政解釈(昭和63.3.14基発第150号)です。

 

 

2008年12月の改正労基法によって、5日以内の限度で時間を単位とした年休の付与が認められました(2010年4月から施行)。労使協定によって、①時間を単位として年休を与える労働者の範囲、②時間を単位として年休を与える労働者の範囲、②時間を単位として与えることができる日数、を定めることが条件です。

 

 

 

 

 

年次有給休暇の繰越し

 

 

年契約で更新を繰り返しているパート社員が数名います。これまで、パートの年休は考えておりませんでしたが、社員との均衡もあり毎年、契約更新時に5日の有給休暇を付与することにしました。これでいいでしょうか。

 

 

HECK 1労基法は6か月以上の継続勤務者に最低で年10日の年次有給休暇をあたえなければならないことを定めている。パートタイマー等労働日数や労働時間が少ない者についても比例付与の規定がある。

2 労基法は時効が2年のため、その年に使わなかった年次有給休暇の権利は翌年までは繰越意することができる。退職再雇用の場合も勤務の継続性があるかどうかで判断する。

3年次有給休暇の取得については、1日単位が原則だが、半日単位で分割して取得することも違法というわけではない。また、200812月の労基法改正では、労使協定を結べば、5日以内の限度で時間単位の分割取得も可能となった。

年次有給休暇の要件と日数

 労基法39条は、①雇入れの日から6ヶ月間継続勤務し、② 全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10日間の年次有給休暇(以下、年休)を与えなければならない、としています。週5日以上または週30時間以上勤務する者については、継続勤務要件と出勤率の要件さえ満たせば、誰にでもこうした年休の権利があり、継続勤務に応じて増加することになります(最高年20日まで)。

 2ヵ月契約、3ヵ月契約のような短期契約であっても、契約を更新して6か月以上雇われたり、派遣先が違っても同じ派遣会社を通じて実質的に6か月以上継続して働いた場合には、まったく同等の権利が生じます。契約が変わるときに一定期間のブランクが生じることがありますが、1ヵ月を超えない程度であれば「継続勤務」として扱うことが可能です。

年休の比例付与

 パートタイマーなど、通常の労働者より週の所定労働時間が短い場合であっても、週の所定労働時間が30時間以上であれば、通常の労働者とまったく同等の年休が付与されます。 週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下の勤務の場合であっても、労働日数に比例して一定の日数が付与されます(労基法393項)。また、月の前半だけ働くなど、必ずしも週単位で所定労働日数が決まっていない場合でも、1年間で48日以上の勤務があれば年休の権利は生じます。

年休の繰越しと時効・買上げ

 年休を当該年度に行使せず残した場合については、労基法の時効が2年間となっているため、翌年度に限って繰り越すことができます。(最高だと繰越し20日にその年の20日がプラスされ40日の権利が生じます)。 取得しなかった場合の年休の買上げについては、労働者は通達で「買上げ予約は労基法違反」としています。これは、最低基準である年休取得の権利を抑制するものとして好ましくないとされるためです。しかし、法定を上回る年休(時効にかかった未消化年休や企業独自の上乗せ休暇)の買上げは労使間の自由です。また、労働者が年次有給休暇請求権を行使せず、時効や退職などでこれが消滅するような場合に、残日数に応じて金銭を支払うことは、事前の買上げと異なり、必ずしも、労基法39条には違反しないとされています。

年休の単位・時間分割

年次有給休暇の取得単位は暦日の1日であり、原則として午前0時から午後12時までです。ただし、2暦日にまたがるような変則勤務の場合は、「当該勤務を含む継続24時間の休息を与えれば1日の年休を与えたものとする」というのが厚生労働省の行政解釈(昭和63314 基発第150号)です。

 年休の時間分割については、高宮学園事件(東京地判平7.6.19)の判決があります。判決は、「もともと労基法上の年休は、最小分解単位を1労働日としており、半日に分解して与えることを予定していないが、年休制度の目的は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図ることにあり、半日年休は、右目的を達成するのに、労使双方にとって便宜かつ合目的的であることから、労基法は使用者がすすんで半日年休を付与する取扱いをすることを妨げていない」としました。

 行政解釈でも「労働者が半日の年休を請求した場合に使用者は労基法上その請求に応じる義務はないが、任意にこれに応じることはさしつかえない」(昭633.14 基発第150号)としており、半日休暇を認める就業規則や契約内容となった慣行がある場合には、使用者は請求に応じる義務があることを認めました。

200812月の改正労基法によって、5日以内の限度で時間を単位とした年休の付与が認められました(20104月から施行)。労使協定によって、①時間を単位として年休を与える労働者の範囲、②時間を単位として年休を与える労働者の範囲、②時間を単位として与えることができる日数、を定めることが条件です。

退職再雇用の場合の年休付与

 

 退職再雇用の場合の年休の継続性については、東京芝浦食肉事業公社事件(東京地判平29.25)は、「年休制度の趣旨を考慮して実質的に判断されるべきものとし、正規職員が定年退職し非常勤の嘱託職員となった場合、勤務状況に実質的な変更がないときには「継続勤務」にはあたらないと判断したものですが、1987年の労基法改正以降、週所定労働時間が30時間以上の労働者の場合の条件は比例付与ではなく本則の日数を付与するとされており、異論のあるところです。